第23回日本ミトコンドリア学会年会 (J-mit) での口頭発表に関するお知らせ

第23回日本ミトコンドリア学会年会 (J-mit) での口頭発表

細胞内小器官であるミトコンドリアを新しいモダリティとして開発するバイオテクノロジー企業のルカ・サイエンス株式会社(以下、ルカ・サイエンス)と共同研究者は、2024年11月21日(木)~11月23日(土)に順天堂大学 本郷キャンパスにて開催された第23回 J-mitにてモーニングセッションにおける講演および口頭発表を行ったことをお知らせします。

1. 世界初のミトコンドリア含有製剤「MRC-Q」が切り拓く新たな治療法

ルカ・サイエンス株式会社は、革新的なミトコンドリア病治療を目指し、世界初のミトコンドリア含有製剤「MRC-Q」を開発しました。本製剤は、独自技術によりヒト細胞から分離したミトコンドリアと周辺細胞内小器官を含み、エネルギー代謝改善を目的としています。

リー症候群モデルマウスを用いた研究では、MRC-Qが神経機能の回復や寿命延長、エネルギー効率の向上をもたらすことを確認しました。また、培養細胞実験では、患者由来細胞においてもATP産生の増加と酸化ストレスによる細胞障害の軽減が観察されています。

MRC-Qは、これまで治療法の乏しかったミトコンドリア病患者に新たな希望を提供する可能性を秘めています。

2. 単離ミトコンドリアによる細胞内糖および脂肪酸代謝の変化を解明

ルカ・サイエンスは、独自技術で調製したミトコンドリア複合体「MRC-Q」が細胞内エネルギー代謝に与える影響を明らかにしました。MRC-Qは、外膜・内膜構造を保持しながらATP産生能と抗酸化作用を有する革新的な製剤です。

ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)を用いた研究では、MRC-Qの添加により酸素消費速度(OCR)が最大18%、解糖系関連指標である細胞外酸性化速度(ECAR)が最大28%増加することを確認しました。また、グルコースを除去した条件下でもOCRの増加が観察され、さらに脂肪酸β酸化が最大154%促進されました。

これらの結果は、MRC-Qが細胞に取り込まれた後、解糖系および脂肪酸β酸化を活性化し、細胞内エネルギー産生を向上させることを示しています。本研究は、MRC-Qの広範な応用可能性を示唆するものです。

3. 細胞間ミトコンドリア輸送による治療がLeigh症候群モデルマウスの病勢を改善

ルカ・サイエンス株式会社と国内外の研究機関との共同研究により、Leigh症候群(LS)のモデルマウス(Ndufs4 KOマウス)に対する新たな治療法の有効性が示されました。

研究では、野生型マウスの骨髄細胞を移植することで、LSモデルマウスの生存期間が有意に延長し、神経症状の改善が観察されました。また、骨髄細胞を介して健康なミトコンドリアが病的細胞に輸送される細胞間ミトコンドリア輸送(IMT)の可能性も確認されました。さらに、単離した肝臓由来やHeLa細胞由来のミトコンドリア(MRC-Q)の投与でも同様の改善効果が得られました。

本研究は、IMTを活用した治療法がLeigh症候群をはじめとするミトコンドリア病に対する有望なアプローチであることを示しており、今後の臨床試験が期待されています。

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画期的な研究を『Nature Metabolism』に発表しました